へい!こんにちわ!
今日は、人魚パロだけおいてくぜぇ!!
Flower of sea
―Ⅱ―
「お返しするわね。はい、これ大切なものでしょう?」
にこにこと小さな花を思わせるように笑うこの少女は何者だろうか・・・。
ユリウスは思考が追い付かない様子でポカンと彼女を見つめていた。
彼女は自分の腰辺りまで背をのけ反らせて、手をつき嬉しそうにユリウスの杖を差し出してくる。
けれど、目の前の状況にやはりユリウスはねじが切れたかのように動けないでいた。
そんな状況にいち早く冷静さを取り戻したのが、二人より遠い所にいるノエルだった。
「ななななななな!!!!」
「!!」
否、声を出したのがノエルだった。
そして、
ガシッ!
「きゃ!?」
「君、人魚!?人魚だよね?人間の上半身に魚の下半身!!うん!きっと間違いないよ!!君は人魚だよ!」
「そ、そうよ?私は人魚だけど、言われなくても知っているわ。」
それを聞いているのかいないのか、ユリウスはきっとこの太陽よりも輝かしい瞳をルルへ向けた。
「すごい!ほんとうに人魚に会えるなんて!じつはここで風属性と土属性を合わせた古来の伝記に書かれた人魚を呼びだす魔法を試そうとしていたんだ!!なのに、その前に人魚のほうから来てくれるなんて!!もしかしたら風と土属性に秘密があるのかな!?ねぇ、君はどう思う?人魚ならわかるよね?もしかして人魚って実は水属性じゃないのかな?知りたい!君のこと、すっごく知りたいよ!!」
「し、知りたいの・・・?」
「・・・おーい、ユリウス~。それぐらいで止めとけ。」
マシンガントークですっかり場の雰囲気が壊れ、平静さを取り戻したノエルがあきれ顔で注意する。
ルルは興味津津なユリウスの顔をじっと見つめていた。
「私もあなた達のこと、とっても知りたいわ!」
「はっ!?」
「へ?どうして君が知りたいの?」
きょとんとしたユリウスにルルはまた笑った。
「あなた達が私を知りたいのと同じことよ、人のこと教えてくれる?」
ことりと小首を傾げる。
アップにするための髪飾りの珊瑚が不思議な音をたてた。
ユリウスは満足そうにうなづいた。
「うん、構わないよ。君のことが知れるなら。」
「よかったぁ。私はルル、よろしくね。陸の魔法使いさん!」
やっと杖がないことに気づいたユリウスが人懐っこい笑みをかすかに浮かべてルルから自分の媒介を受け取った。
「俺の名前はユリウス=フォルトナ―。よろしく、ルル。」
うんうん、これでマカロンへの道も近い!
と、満足するルルだった。
「ちょっと待ってくれないか。お前たち俺の存在を忘れているだろう・・・・。」
この状況の異質過ぎる空気を気づかない、新たな天然人物(人魚)と天然王子にノエルは顔を引きつらせていた。
[2回]
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